小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉・地域の食文化料理

*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。
 ○ 「鴨方手延べ素麺」と「テンペ入りらーめん」(岡山県)
 

「鴨方手延べ素麺(岡山県)」
 小麦の栽培に適した風土の中、瀬戸内海の良質な塩や遥照山からのきれいな水、「晴れの国岡山」と呼ばれるように冬季晴天に恵まれて乾燥した冷風で湿度が少ないなど、温暖で安定した気候の好条件のもとで生まれた岡山県西部に位置する鴨方町の手延べそうめんは、岡山県を代表する麺です。
  安達巌著「たべもの伝来史」によると奈良時代の日本に醤油、納豆、胡麻油、ワンタン等15種類に及ぶ調理加工品が伝来していますが、その中に唐菓子(からくわし)と呼ばれる一種の粉食菓子があり、儀式用の供え物や接待用の高級菓子として数多くの種類が唐(中国)から渡ってきています。これらの菓子は小麦粉や米粉に塩などを加えて練り合わせ、蒸したり、油で揚げたりして作ったと言われています。唐菓子の一つである「索餅(むぎなわ)」は、当時の菓子の中で最も広く普及し、素麺の原型となりました。
  「索餅」は、小麦粉、米粉に塩水を加えて混ぜ合わせ、引き延ばして縄のようにより合わせた麺で「麦縄」とも書かれていました。索餅は鎌倉時代に入るとあとから伝来してきた点心の影響を受けて、次第にうどんに近い食べ方になっていき、室町時代には、製法はさらに現在に近くなり、当時の文献によると呼び名も索麺・素麺に変わってきています。江戸時代になると各地で特色ある素麺が作られるようになりました。
  鴨方素麺のはじまりは、古く九世紀ごろとされ、「吉備の国に麦切りと言うものあり」と古文書に書き残されており、名産として朝廷に献上されたと言われています。
  現在の製麺技術は、江戸時代後期の文政年間、浅口郡口林村(現里庄町津江)の原田敬助と言う人が、お伊勢参りの途中、播州でそうめんを食したことがもとで、小坂東村の杉谷川に製粉のための水車を作り、播州から練達の職人を呼んだのが始まりと伝えられています。
 手延べの基本製法は、小麦粉・水・食塩をなかだて→混捏→足ふみ→のし→板きり(切廻し)→巻き込み→細め→こなし→かけ巻き→小引き→門干→引延し→乾燥→小割(裁断)→結束の数々の工程が必要で、無理なく延ばせる程度だけ引き延ばして、ねかし(熟成)を十分にとってから、また無理のない程度だけ延ばしていく製法です。ねかしと延ばしの繰り返しであり、手間と時間は大変なものです。高級品といわれるものほど細いといわれる所以です。手延べ素麺は普通、太さ1.3mm未満で丸棒状に成形した麺を言います。手延べ製品には太さにより冷麦、うどんもあり、コシと食感の違いを楽しめます。

<メモ>
 一般には乾燥品が主体で、約19cmの長さの1束(約50g)ずつ結束した形で販売されています。  

手延べそうめんのおいしいゆで方
(1) 鍋にたっぷりの水(乾麺100gにお湯1リットルが目安)を入れ、よく沸騰したら麺をバラバラと入れます。
(2)

茹で時間は表示を目安にしつつ、1〜2本試食してお好みの茹で加減にする。

(3) 茹で上がった麺は湯をきり、流水で洗い、冷水で冷やし、ざるにあげる。

めんつゆのおいしい作り方

「かけつゆ4人分の場合」
(1)

材料として水6 1/2カップ、だし昆布5cm角のもの2枚、削り節30g淡口醤油大さじ2、みりん大さじ3、酒大さじ2、塩小さじ2/3〜1を準備する。

(2)

昆布に切り込みを入れ、鍋に水と一緒に入れて弱火にかける。

(3) 沸騰したら昆布を取り除き、削り節を加え、弱火で3〜5分煮る。
(4) 火を止め、削り節が沈んだらキッチンペーパーなどを敷いたこし器でこす。
(5) こしただし汁を煮立て、醤油、みりん、酒、塩を加えて調味する。

「つけつゆ4人分の場合」
(1)

材料として水2 1/2カップ、だし昆布5cm角のもの1枚、削り節20g、みりん大さじ4、醤油1/2カップを準備する。

(2)

昆布に切り込みを入れ、鍋に水と一緒に入れて弱火にかける。

(3) 沸騰したら、みりんと醤油を加える。
(4) 再び沸騰してきたら削り節を加えて弱火で約5分間煮る。
(5) 火を止め、削り節が沈んだらキッチンペーパーなどを敷いたこし器でこす。

「市販のめんつゆを使用する場合」
 沸かしたりこしたりするのが面倒なら、市販のめんつゆに厚削り節(かつお節を2〜3mmに削ったもの)を入れておくとおいしいめんつゆができます。

 
「祭り寿司そうめんのおいしい作り方」(4人分)
(1)

材料として、手延べそうめん4束、卵4個、焼きアナゴ2尾、えび200g、絹さや30g、きざみ海苔少々、つけつゆ4食分を準備する。

(2)

卵に塩少々を加え錦糸卵を作る。絹さやはすじをとって塩茹でし斜め半分に切る。えびは塩茹でにして殻をとり半身に切る。焼きアナゴは3cmの長さに切る。

(3)

そうめんを茹でて湯をきり、流水で洗い、冷水にとって冷やし、ざるにあげる。

(4) 器にそうめんと(2)を彩りよく盛り、最後にきざみ海苔を振るってお好みの薬味を入れたつけつゆを添える。



大豆とのコラボレーションから生れた麺「テンペ入りらーめん」(岡山県)

 「晴れの国岡山」の温暖な気候の中で育まれた農水産物品は種類も豊富です。それらを利用して作られた「ままかり料理」「祭り寿司(ばら寿司)」などの郷土料理やめん類、調味料、銘菓、デザート等の農水産物加工品は数知れずあります。加えて地産地消の今日、農水産物加工品は、数々の新商品が開発され続けています。
 岡山は対岸の香川県には及ばないが意外と麺類好きが多く、うどん・日本そば・手延べ素麺はもとより、特にラーメン好きな県民で多種多様のラーメンがある県です。この3年間で130数店のラーメン屋がオープンしている県でもあります。人口比から見てもラーメン店の数が多いという岡山では、札幌・旭川ラーメンの北海道系、関西系、四国系、名古屋系、九州系、沖縄系、広島・尾道ラーメンの中国系など日本全国のラーメンが揃っています。
  スープは豚骨味(白濁・醤油)、醤油味、味噌味、塩味、鶏ガラ味等。麺は細麺、太麺、縮れ麺、平麺等、トッピングには地鶏・いのしし・ネギ・チャーシュー等。スープ、麺、トッピングを色々に組み合わせることにより多様の個性的なラーメンが食されています。岡山のラーメンは御当地ラーメンというよりは、御当人ラーメンと言えるでしょう。
 また、岡山県工業技術センターが20数年前から日本で最初に利用技術の研究および普及に取り組んできたテンペ(インドネシアの伝統的な大豆発酵食品)やテンペを使った加工食品(テンペ味噌・テンペコロッケ・テンペパン・テンペ豆腐・テンペまんじゅう・テンペラーメン)が郷土の新しい食文化を形成しつつあります。
 テンペは、良質のタンパク質のほか、リノール酸、食物繊維、ミネラル、レシチン、サポニンを豊富に含み、また発酵することにより消化吸収がよくなりビタミンB群も大幅に増加します。インドネシアでは、栄養改善や貧血予防等に役立ち、乳幼児の保健食としても取り入れられています。
 こうしたことからテンペは県内の学校給食に早くから導入され、現在ではテンペを使った献立も増え、生徒・児童の健康に寄与しています。
 かくしてラーメン大国、岡山の麺と大豆テンペのコラボレートで生まれたのが「テンペ入りらーめん」なのです。麺にテンペペースト、スープにテンペ味噌、トッピングのあられにテンペ粉末を使用したラーメンは女性に人気があり、新しい麺文化を築いていっています。トッピングには、家庭にある野菜などを加えると各家庭の味となり、栄養のバランスも良いと言えます。
 一般的な食べ方であるスープで味わう食べ方と焼きラーメンにして食べても美味しくいただけるので、レシピにも広がりが持てるラーメンです。

<メモ>
 一般には生麺、スープ、テンペあられのセットで販売されています。

    
「テンペ入りらーめんのおいしい作り方」(1食分)
(1)

鍋に水1.8リットルを入れ、よく沸騰したら麺をほぐし入れ、約1分30秒から2分茹でます。お好みによって茹で時間を調節してください。

(2) 同時に容器にスープ(1袋50g)をあけ、熱湯を300ccから350cc注ぎます。
お好みによって熱湯の量でスープの濃度を調節してください。
(スープをあらかじめ、袋の状態で湯煎し、ラードを完全に溶かしておくと美味しいです。)
(3)

茹で上がった麺をざるでよく水切りをし、容器のスープの中に入れます。

(4) 最後にトッピングのテンペあられを振りかけます。
お好みの具(チャーシュー、青ネギ等)をプラスするとさらに美味しいです。



「焼きテンペらーめんのおいしい作り方」(1食分)
(1) 鍋に水1.8リットルを入れ、よく沸騰したら麺をほぐし入れ、約1分30秒茹でます。 (やや固めに茹でてください。)
(2) 同時にスープ(1袋50g)を150ccの熱湯でうすめます。
(3) 茹で上がった麺をざるでよく水切りをします。
(4)

フライパンにサラダ油をひき、豚肉、お好みの野菜(メンマ、もやし、キャベツ、キクラゲ等)を入れて炒め、塩・こしょうで味付けをします。

(5) 茹でた麺を(4)に入れて合わせ炒め、最後にスープと青ネギを加えて軽く炒め好みの味に仕上げます。
(6) 器に盛り、テンペあられを少量ふり、紅しょうがを添えます。



(西日本製粉協同組合)