小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉・地域の食文化料理

*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。
 ○ 大矢知素麺・冷麦 −伝えていきたい伝統の味−


 大矢知(おおやち)は、伊勢の国(現在の三重県)北部、東海道の「桑名宿」と「四日市宿」の間に立地しています。
 この地域で、古くから「手延乾麺」作りが盛んに行われたのは、清廉な水系に恵まれ、地元を流れる朝明川に水車小屋が作られて製粉が行われ、また、鈴鹿山脈から吹き降ろす寒風「鈴鹿おろし」によって、麺を乾燥させるのに、うってつけの場所だったからで、その歴史は300年に及ぶと伝えられています。
 古くから小麦の生産が盛んだったこの地で、農家の副業として江戸時代に始まったそうめんづくりは、恵まれた立地条件の下で、中部地域の名産品としての地位を確立していきました。
 明治の初めに、兵庫県から近代的な灘式手延べ製法が伝わり、製造農家も飛躍的に増加したとのことで、北には大消費地である名古屋を、南には伊勢神宮という観光地を抱えたこの地の商業的な魅力も手伝って、生産量は急上昇し、最盛期には大矢知のほとんどに当たる約300軒の農家で、手延べ麺作りが行われていたそうです。
 時代は過ぎ、水車小屋での製粉に代わって、製粉会社から材料を仕入れて、製造するようになり、昭和30年頃、当時の「三重の糸大矢知手延素麺組合長」人見氏により、全国に先がけて「手延べ冷麦」が考案され、これが非常に好評を博し、手延べ冷麦づくりが盛んになり、現在では素麺より冷麦の製造比率が高いという他産地にない特色を持つようになりました。
   大矢知手延べ麺の特徴は、他にはない、ちょっと太めの麺で、乾麺では太いほど難しいといわれていますが、300年の伝統を生かした製法は大矢知独特の風味と抜群のこしのある麺をつくりだしています。
 最良の材料を一度に伸ばすのではなく、生地を少しずつ延ばしながら細くして熟成させる、20もの行程を経ています。
 この作業を何回も何回も繰り返すことによって、こしの強い大矢知独特の風味に仕上がるのです。
 このように、地域になじみの隠れた名産品として、親しまれている素麺・冷麦ですが、製造が販売に追いつかず、売り切れになることがしばしばあります。
 これは、大矢知素麺・冷麦の伝統製法を守りながら、こだわりの麺作りをしているため、大量生産ができないことに加えて、家内工業的な規模で行われているため、後継者不足が悩みの種となっています。
 コスト重視、大量生産、廉価販売の時代にあって、地域に密着したこだわりの麺作りを通して、いつまでも伝統の味を守っていってほしいと思います。



●素麺・冷麦つゆの作り方

基本のつゆの作り方
1.

鍋に水(2と1/2カップ)に昆布(5g)を入れ、火にかけます。煮立つ直前に昆布を取り出し煮立ったら、かつお削り節(15g)を加え弱火にして、アクをすくいながら1〜2分程で火を止め、しばらく置いた後、ぬれ布巾でこします。
(昆布は前の晩から水につけておき、そのまま火にかけるとより旨味が出ます。)

2. 鍋にみりん(1/3カップ)を入れ火にかけ、アルコール分をとばして、煮切りみりんをつくります。
3. そこに薄口醤油(1/2カップ)、砂糖少々を加え、だし汁を加えて煮立てます。
4. 素麺・冷麦用「つけ汁」の出来上がり。

即席つけ汁の作り方
 鍋に水(2と1/2カップ)に、みりん(1/4カップ)を入れて火にかけ、アルコール分をとばして煮切りみりんを作る。そこに醤油(1/2カップ)、水2と1/2カップ、顆粒だしの素(小さじ1)、 砂糖小さじ1)、かつお削り節(5g)を加えて一煮立てさせ、出来上がり。

大矢知素麺・冷麦のおいしい茹で方
 二人分 *素麺一把(50g)×4〜5把 *冷麦一把(225g)
1.

大きめの鍋に水3リットルを沸騰させます。
沸騰したら少し火を緩め、麺をばらばらとほぐしながら入れます。

    
2.

湯がふきこぼれないように注意して、素麺5分、冷麦10〜12分程度茹でます。
(好みの堅さは茹で時間で加減します。)

   
3. 茹で上がった麺はざるに上げ、流水でよく洗います。
4. 季節により、冷やしたり、暖めたり、煮込んだりして食べます。



(三重県製粉工業協同組合)