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小麦粉の加工と製品

はじめに

 小麦粉は塩などの副材料と適量の水を加えて、こねたり、溶いたりしてから、焼く、茹でる、蒸す、揚げるなどの熱加工をすると、パン、めん、菓子などの幅広い食品をつくることができます。また、天ぷら、揚げ物などの調理でもなくてはならない食材です。

 以下に、その小麦粉の特徴・性質と小麦粉から加工される食品の主なものをご紹介します。

1 小麦粉の種類と特徴

 小麦の胚乳からつくられる小麦粉には、7割程度の炭水化物(でんぷん)と1割程度のたんぱく質が含まれています。小麦粉に水を加えてこねると、他の穀物にはない小麦粉特有のねばりと弾力性のある「グルテン」というたんぱく質が形成されます。そのグルテンの量や質は、原料とする小麦や小麦粉の種類などによって異なります。
 
 また、輸入や国産の原料小麦を粉砕し、ふるい分けることによって、細かな部分を採りだしたものが「小麦粉」です。日本には小麦粉の公的な定義や規格はありませんが、実用的には、小麦粉を使って製造するパンやめんなどの用途で必要とされるグルテンの力の強弱などによって小麦粉を「強力粉」、「準強力粉」、「中力粉」、「薄力粉」と大きく4つに分類して製粉会社が製造・販売しています。
 
 「強力粉」はグルテンの力が強いものでパンや餃子(ギョウザ)の皮用に使われます。次にグルテンの力が強いものが「準強力粉」で中華めんなどに使われます。「中力粉」は、グルテンの力が中庸なもので、うどんなどの日本めんに使います。「薄力粉」はグルテンの量が少なく、質がソフトなのでケーキなどの多くの菓子やとろみ付けなどの調理用に向いています。
 さらには、ホットケーキ、お好み焼き、クッキーなどが手軽にできるように小麦粉に砂糖などが加えられた「プレミックス」という粉や、パスタ用にはデュラム小麦を粗挽きした「デュラム・セモリナ」があります。

2 小麦粉の性質

 小麦粉にはいろいろな性質があります。小麦粉の粒子は細かく、色は淡いクリーム色で、吸水性があります。小麦粉と水と熱でいろいろな異なる状態になるほか、調理に使う上で都合がいい性質をいくつか持っている魅力的な食品材料です。
 粒子が細かい
 市販されている普通の小麦粉の粒子はとても細かくて、直径は150~200ミクロン以下です。実際には大きい粒と小さい粒が混ざっており、種類によっても違いますが、半分くらいは35ミクロンより小さい粒子です。
 薄力粉の粒子が最も細かく、強力粉や準強力粉はやや粗めです。中力粉はその中間かやや細かめです。薄力粉の原料となる小麦は粒そのものが軟らかいので細かい粉になりやすく、それに比べて、強力粉の原料として使う小麦は硬くて、粉砕してもばらばらの粒子になりにくいため、粉がやや粗めになります。このような粒子が細かいという特徴によって加工がしやすいため幅広く使われています。
 
淡いクリーム色
  小麦粉は製造工程で一切漂白など行われていないため、自然のままの淡いクリーム色をしています。小麦の産地や種類によって、クリーム色がやや強めのものから、やや白っぽいものまで、よく見るとわずかですが色合いに差があります。このような淡いクリーム色は、小麦の胚乳に含まれるカロチノイド系の色素によるものです。パスタの色から分かるようにデュラム小麦では、カロチノイド系色素が最も多く含まれており、これを砕いたデュラム・セモリナは黄色く見えます。
 
こんな性質もある
 小麦粉に他の粉末状のものを加えて、ふるいで数回ふるうとよく混ざります。種類の違う小麦粉や小麦粉以外の穀粉をたくさん混ぜることもできますし、砂糖のような加工に必要な他の副材料を加えることや、微量のビタミン、ミネラルなどを均一に添加することも容易です。肉や魚のように表面に水気があるものにくっつきやすい性質も持っていますので、ムニエルなどをつくるときに使えます。手打ちうどんの打ち粉として小麦粉を表面にまぶすのも、うどんの表面が湿っていて互いにくっつきやすいのを防ぐためです。
 小麦粉は良いにおいも悪いにおいもすぐに吸ってしまします。この性質を使えば、付けたいフレーバーをのせることができます。逆に、においのつよいものの近くに置きますと、すぐにそれが移ってしまう危険もあります。小麦粉を保存するときには注意して保存しましょう。「小麦粉の保存方法
 特殊な加工をすれば、サラサラの顆粒状にすることも可能です。粉が舞いづらく溶けやすい特徴があり、最近では、家庭の調理用のボトルタイプやスティックタイプの市販品もあります。

3 小麦粉で作られる主な二次加工食品

 これまでの説明で、小麦粉にはいろいろな特徴・性質があることが分かったと思います。ここからは、その特徴・性質を利用した加工食品(「二次加工食品」と呼ばれます)の主なものを 【パン】 めん 菓子 プレミックス その他の加工食品】 の順にご紹介しましょう。

(1) パン

 大麦や小麦を石で砕いたものに水を加えてこねた生地を、少し薄く伸ばして火の中で焼いた「平(ひら)焼き」が、パンの元祖と考えらています。紀元前3千年頃のエジプトでは、小麦粉を使ってイーストらしきもので膨らませたパンがつくられていたようです。日本には、1543(天文12)年、種子島に漂着したポルトガル船によって初めてもたらされたといわれていますが、一般に広まることなく、江戸時代の間は、長崎において出島のオランダ人向けのパンがつくられていた程度でした。
 パン食普及協議会の「パンのおはなし」によれば、1854年に鎖国が解かれると、横浜、神戸など外国船に開港された港町を中心に、パンづくりが広がりました。1869年、現存するパン屋でもっとも古い「木村屋総本店」が銀座に開業、5年後には日本独特の「あんパン」が発売され、人気商品になったと紹介されています。
 その後、世界各国からいろいろなパンが日本に紹介され食べられてきましたが、日本独特の歴史を刻みながら、今では私たちの食生活の中にすっかり溶け込んでいます。
 
 パンをつくる場合には、たんぱく質含有量が多くてその質が良い小麦粉を使用します。小麦粉100に対して60~70の水を用い、他の副材料と共によくこねて、グルテンの網目構造を十分に形成させます。その結果、パン生地は弾力性、伸展性、粘性を持つようになり、イースト醗酵によるガスを包み込んで大きく膨れて焼き上がります。
 
 パンの基本原材料は、小麦粉、水、イーストおよび塩で、バゲットのようなフランスパンは主としてこれらから、また食パンなど多くのパンは、さらに砂糖、油脂(バター、マーガリン、ショートニング)などを加えてつくられます。
 パンにはこのような配合の違いのほかに、生地のつくり方の違いもあります。パン生地の製法が違うと、たとえ同じ配合でも外観(大きさ、色)や内相(中の気泡の大きさ、形)に違いが出て、それが食感や風味の違いとして顕れます。パン生地の製法には、直捏(じかごね)生地法(ストレート法)、中種(なかだね)生地法(スポンジ法)、液種(えきだね)生地法、冷蔵生地法、冷凍生地法などがあります。
(パンの情報は、「パン食普及協議会」ホームページをご覧ください)
    ●パンの一般的な製造工程
 「直捏生地法」では、全ての原材料を一度に混合し、こねて生地をつくります。作業は単純に見えますが温度管理や工程管理を厳密に行う必要がありますので、大量生産にはやや不向きです。しかし、上手にやれば風味と食感が良いパンをつくることができます。
 「中種生地法」では、原材料を2回に分けて混合し、こねて生地をつくります。最初に小麦粉の55~75%、水およびイーストで生地をつくり、数時間発酵してから残りの原材料を混合して再びこねて生地をつくる方法です。この方法は場所と手間がかかりますが、温度管理や工程管理に許容範囲があるため、大量生産に向いています。できたパンも体積が大きくてソフトなため、日本だけでなくアメリカでも多く用いられている方法です。
 「液種生地法」では、イースト、塩、イーストフード、モルト、水の全量または一部、糖の一部にpH緩衝材として脱脂粉乳または炭酸カルシウムを加えて液種をつくります。発酵、冷蔵し、残りの原材料を加えてミキシングをして生地にし、以降の工程を行います。ややフレーバーに欠けますが、品質のばらつきが少ないパンができます。
 その他に、こねた生地をいったん冷蔵庫や冷凍庫に保管する「冷蔵生地法」や「冷凍生地法」があります。これらを用いると、生地をつくる場所とパンを焼く場所を切り離すことができ、時間管理が容易になるため、使われる場面が増えています。特に、冷凍生地玉(小分けにされた生地を冷凍したもの)や成形冷凍(小分けにして形まで整えられた生地を冷凍したもの)は、長期間保存できるうえに、焼き上げる作業だけですみ、場所をとらず短時間に出来上がりますから、ベーカリーだけでなく、カフェ、レストランなどの新たな市場で消費が伸びています。
   
以下に主なパンをご紹介します。
① 食パン
 主食用として日本で食べられているパンで、食パン型に入れて焼いたものをいいます。焼くときに蓋をして焼いた角食(プルマンブレッド)と蓋をしないで焼いた山型食パン(イギリスパンやワンローフ)の2つのタイプがあります。
 主な原材料として、小麦粉、水、イースト、塩のほかに、砂糖、油脂、脱脂粉乳などが使われます。日本の食パンの口溶けの良さやソフトさは海外からも評価されていますが、ソフトできめが細かい内相の食パンをつくるには小麦粉の品質がとても重要で、グルテンの量、質ともに優れた強力粉が使われます。

② 菓子パン
 主として間食用で、嗜好的な要素が強いパンです。餡、クリーム、ジャムなどを包んだあんぱん、クリームパン、ジャムパンなどのパンです。
 日本独特の菓子パンは、形や詰めもの(フィリング)がさまざまで、風味もバラエティに富んでいます。生地は中種生地法でつくられることが多いようですが、砂糖の配合量が多いことが食パン生地と大きく違うところです。また、膨らますための手段として、イースト以外に酒種(さかだね)や麹(こうじ)種を使うこともあります。菓子パン用には、強力粉のほかに準強力粉も使われます。

③ デニッシュペストリー
 生地に油脂を多く折り込んで作ったクロワッサンなどのパンで、生地の上や中にいろいろなフィリングをトッピングしたものもあるヨーロッパの菓子パンです。
 砂糖、バター、卵が多い生地にバターを包んで何回か折り込み、生地を冷やしながら成型し、発酵、焼成します。いくつもの層ができますので、サクッとしたフレーク状の食感になります。油脂の練り込み方の違いで、ふわふわしたアメリカタイプと、パイのようにサクサクしたヨーロッパタイプがあり、また、渦巻きや網目などの形、クリーム、ホワイトソース、チーズ、シナモン、ナッツ、ジャム、果物などによる詰めもの、コーティングまたはトッピングなどによっても多くの種類に分かれます。
 これらのパン生地は何度も延ばして折りたたみますので、小麦粉は弾力が強過ぎないほうがよく、たんぱく質含有量がやや少なめの準強力粉を使ったり、強力粉に薄力粉を混ぜたりします。

④ 堅焼きパン(ハースブレッド)
 ほとんどのヨーロッパ風の食事のパンがこれにあたります。フランス生まれの長い形のバケットは主に小麦粉、塩、イースト、水でつくります。表皮がパリッとして香ばしく、中身はサクッとした食感で、小麦粉の風味を活かしたさっぱりした味ですので、料理を引き立てます。イーストの代わりに、乳酸菌や野生酵母などを含む「種」を使って発酵した独特の酸味があるパンや、パリジャン、バタール、ブールなどバゲットと同じ生地から形と大きさを変えて焼くパンもあります。生地は直捏生地法でつくるものが多く、型や天板を使用せずに直接オーブンの床に成形した生地を置いて焼きます。焼き始めに蒸気をオーブンに入れることで、外皮(クラスト)につやと歯ごたえを与えます。ドイツ生まれのブレートヒェンはパリッとした外皮、しっかりした内相の小型堅焼きロールパンで、丸型が多いようです。5つの折り目があるカイザーロール(カイザーゼンメル)は塩味で、外皮は硬いですが、内部は柔らかめです。小麦粉にイースト、塩、粉乳、オリーブ油、水などを加え、直捏生地法で硬めに仕込みます。手で生地をたたいて薄く伸ばし、中心に向かって折り込みを5回程度行います。ライ麦粉を配合したライブレッドもあります。
 堅焼パンに使う小麦粉は、風味のしっかりした、強力粉よりたんぱく質含有量がやや少なめの準強力粉クラスのものです。フランスパン専用の小麦粉も市販されています。

⑤ 調理パン
 調理済みの加工食品を載せたり、挟んだりしたパンのことです。これには焼き上げたパンに調理食材を挟んだ普通の調理パンと生地に調理食材を包んだり挟んだりした後で焼き上げる焼きこみ調理パンの2種類があります。食パンを使ったサンドイッチが調理パンの代表です。サンドイッチにはクローズド、ロール、クラブ、オープンサンドイッチなどがありあます。また、カレー、焼きそば、サラダ、ソーセージ、ハム、卵など調理済みの惣菜を挟むか、載せたパンをはじめ、多種類の調理パンが市販されています。
 原料の小麦粉は、それぞれの用途に合う小麦粉を選ぶ必要があります。

 ⑥ 蒸しパン
 生地を焼くかわりに蒸して完成させたパンのことです。形は饅頭型と三角や四角型、上面の割れたアルプス型があります。これらのパンをつくるのに必要な小麦粉はさまざまですので、それぞれの製品に合うものを選ぶ必要があります。

(2) めん

 めんは、小麦粉やそば粉などを水でこね細長い線状に成型した後、加熱調理して食べます。生産量などを公表している食品産業動態調査(農林水産省)では、ゆでる前の生めん、ゆでめんなどを「生めん類」(中華めん、日本そばも含みます)、生めんを乾燥した「乾めん類」(中華めん、日本そばも含みます)、袋めんやカップめんを「即席めん類」、スパゲッティやマカロニなどを「マカロニ類」(一般的には「パスタ」と呼んでいます)の4つに大別しています。
 
 全国乾麺協同組合連合会の「乾めんの歴史」によれば、日本でめんらしきものが登場したのは、遣唐使が活躍し、中国の文化を積極的に取り入れた奈良時代の頃で「索餅(さくへい)」が中国から伝えられたといわれているようです。索餅とは、小麦粉と米の粉を練り、それを縄のような形にねじった食べ物であると考えられています。索餅は、和名をむぎなわ(麦縄、天岐奈波)といい、うどんやそうめんに繋がるものです。

 めんは、パンやケーキに比べて配合が簡単で、小麦粉と水と塩(中華めんにはかん水を使います)があればできますので、小麦粉の品質が重要です。うどん、そうめんには中力粉、中華めんには準強力粉、パスタにはデュラム・セモリナというように、製品の硬さが増すにつれて、たんぱく質含有量が多い小麦粉を使います。めんの滑らかさや腰(こし)などは、小麦粉に含まれるでんぷんの性質が大きく反映されますし、めんの色には小麦粉本来の色の影響が大きく出ます。そのため、めん用小麦粉は明るくさえた色で、たんぱく質含有量がその製品に合ったものであり、めんに適した性質のでんぷんを備えていなければなりません。
 
 めんは細長い線状にしてつくりますが、これには3つの方法があります。
●生地を押圧して平板状に延ばしてから、切出す(線切りする)方法
 一般的な製めん法です。手で延ばして包丁で切る手打ちと、ロールで圧延して切刃で切る機械製めんがあります。
●引き伸ばす方法
 手延べそうめんは有名ですが、ラーメンにも両手で生地を延ばし、放り上げてはねじりながら延ばしていく方法があります。これらでは、加水量が多い軟らかめの生地を使います。
●穴から押し出す方法
 パスタの製造では、生地をシリンダーに押し込んで、先端の金型(ダイス)から押し出します。ダイスの形や大きさによってスパゲティになったり、穴の開いたマカロニになったり、貝殻の形をしたシェルマカロニになったりします。
   ●めんの一般的な製造工程
めんは製造方法の違いによってさまざまな形態で流通しています。以下にご紹介します。

① 生めん、ゆでめん
 めんの中では最も消費量が多く、生めんにはうどん、中華めん、日本そば、およびパスタがあり、加熱調理して食べます。
うどんは小麦粉(主に中力粉)、水、塩の簡単な配合でつくります。中華めんは、小麦粉(主に準強力粉)にかん水(主として炭酸カリウムや炭酸ナトリウムなどの混合物)を添加してつくります。このアルカリによって小麦粉中に少量あるフラボノイド系色素が黄色に発色し、中華めん特有の色を出します。めんの食感を強くする効果もあり、うどんやそうめんとは違う風味と歯ごたえになります。また、中華めんを生めんで流通させるためには、中華めん用に特別につくられた小麦粉が選ばれます。
 餃子(ギョウザ)やシュウマイなどの皮類も、中華めんとほぼ同様の配合で生地をつくり、薄く延ばして製品にします。
 うどんを生めんからゆでるとおいしい「釜揚げ」の状態で食べることができますが、10分以上のゆで時間がかかります。そのため予めゆで上げした「ゆでめん」がつくられ、給食や業務用などで幅広く活用されています。
(生めんの情報は、「全国製麺協同組合連合会」ホームページをご覧ください)

② 冷凍めん
 ゆで上げ、冷却後のコシを残し、調理時間をさらに短縮するため、めんをゆでた直後に急速凍結してつくられるのが「冷凍めん」です。必要な都度、冷凍庫から出して、電子レンジや熱湯中で解凍して食べることができます。おいしさ、手早く調理できる簡便性、長期間にわたる保存性などの特徴があり、つゆや具材類とあわせて急速凍結した調理済みのものもあるので、家庭だけでなく、食堂やうどん専門店にとっても便利な商品で、消費量は増えています。
 なお、この技術はパスタ(生および乾燥品)にも応用されて、普及が図られています。
(冷凍めんの情報は、「(一社)日本冷凍めん協会」ホームページをご覧ください)

③ 乾めん
 切刃で切るか、延ばしてつくった生めんをそのまま乾燥したもので、うどん、ひやむぎ、そうめん、日本そば、中華めんがあります。このうち、ひやむぎとそうめんは乾めんのみで流通しています。日本そばや中華めん以外の乾めんに使用する小麦粉は中力粉ですが、めん線の太さによって、例えば細かいめんにはたんぱく質含量がやや多めの小麦粉を使う傾向があります。
 「手延べそうめん」は非常に細く、独特の風味と食感があります。その基本は奈良の三輪地方で確立された後、日本各地に伝わったと思われます。現在の著名な生産地はかつての良質小麦の産地、屋外乾燥に条件が良い場所であったようです。
 手延べそうめんは原則として冬の寒い乾燥期につくられ、翌年の梅雨期を越してから出荷されるのが一般的です。小麦粉に対して5%程度の塩と50%程度の水を加えて、よくこねます。グルテンの網目構造を十分に形成し、延ばしてから、生地を厚めの円盤状に形づくります。これを渦巻き状に切り込んで太いひも状にし、植物油をぬりながら延ばしてゆきます。ある程度細くなったら、屋外で乾燥と延ばしを行います。このようにしてできた手延べそうめんは、梅雨期を越すことによって「厄(やく)」といわれる熟成が行われ、ゆでのびが遅くて、食感が良いそうめんになります。技術の進歩によって、このような伝統的な製法の一部の工程に機械を導入してつくられるものも多くなっています。
 乾めん類の場合、めんの太さによって、「ひらめん」、「うどん」、「ひやむぎ」、「そうめん」などに区別されています。この乾めん類の規格は、日本農林規格(JAS規格)などによって定められています。
 (乾めんの情報は、「全国乾麺協同組合連合会」ホームページをご覧ください)

④ 即席めん
 1958(昭和33)年、日本で初めてインスタントラーメンの基本工程(製めん、蒸熱処理、味付け、油揚げ乾燥)を工業的に確立し、量産に成功したものとして、「チキンラーメン」が大評判になりました。1971(昭和46)年には「カップめん」が発売されました。即席めんの技術は、アメリカ、アジア、ヨーロッパにまで移転され、国民食から世界食へと発展していきました。
 形態によって、「袋めん」と「カップめん」に大別されます。めんの種類別では、中華めん、うどん、日本そばが作られていますが、めんが細い方が湯戻し(お湯を入れて食べられる状態になること)に便利なため。中華めんがもっともポピュラーです。
 生めんをつくったあと、めんを蒸してアルファー化し、さらに保存とアルファー化状態維持のために乾燥します。乾燥法には、「油揚げ」(フライめん)と「熱風乾燥」(ノンフライめん)があります。味付けは、乾燥前に噴霧か浸漬によって行うか、粉末スープを別に添付します。凍結乾燥した肉や野菜なども、別に包装して添付してあります。アルファー化後にそのまま無菌包装され、スープやかやく(具)が添付されている高級イメージの商品も多く市販されています。
 これらに使われる小麦粉は、めんの種類によって異なり、即席中華めんの場合には、主として準強力粉が使われます。 
 (即席めんの情報は、「(一社)日本即席食品工業会」ホームページをご覧ください)

⑤ 日本そば
 今のように細長いめん状になったそばの歴史は諸説あるようですが、一説によると江戸時代の寛永年間に朝鮮から来た僧侶によってそばのつなぎに小麦粉を使うことが伝授され、今のようなめん状のものをつくることができるようになったと言われます。
 ソバ粉には小麦粉のようなグルテンになるたんぱく質がありませんので、めんにするときにつながりにくい性質があります。そこで、上質のそばをつくるときには、水の代わりに熱湯を用いて湯ごねで練り上げます。しかし、多くの場合にはソバ粉をつなぐために小麦粉(強力粉など)が使われており、ソバ粉と小麦粉の比率はさまざまです。
(日本そばの情報は、「(一社)日本麺類業団体連合会」ホームページをご覧ください)

⑥ パスタ
 初めて国内でパスタが作られたのは1883(明治16)年頃、フランス人宣教師が、長崎県長崎市外海町に煉瓦造・平屋建のマカロニ工場を建設し、製造したのが最初といわれています。そして、日本人による初の国産パスタが作られたのは大正時代。現在の新潟県加茂市で製めん業を営んでいた石附氏に、横浜の貿易商がマカロニの製造を依頼したのが始まりだそうです。
 日本でパスタが一般化したのは、イタリアより配合から乾燥までを連続で行う全自動式の本格的製造機が輸入されるようになった昭和30年代以降のことです。特に、本格的なパスタ製造機導入の契機となった1955(昭和30)年は「パスタ元年」といわれています。その頃の国産パスタは、日本人の味覚や食感の好みに合わせて、複数の小麦粉をブレンドして作られていました。やがて、海外旅行に出かける人が増えたり、イタリアンレストランのブームなどで日本人のパスタの好みも変わり、1986(昭和61)年頃からデュラム・セモリナ100%の国産パスタが家庭でも使われるようになりました。
 
日本農林規格(JAS規格)によるパスタ(マカロニ類)は、他のめん類とは次の点が違います。
 ●主原料は、デュラム小麦のセモリナ及びデュラム小麦の普通小麦粉に水を加える
 ●使用しても良い副材料は、卵、野菜(トマト及びほうれんそう)
 ●専用の成型機から高い圧力で、金型(ダイス)から押し出した後、切断、乾燥熟成する
 
 デュラム小麦はカロチノイド系色素が多く、高圧で押し出しますので、製品の組織が非常に緻密な状態になり、透明感のある黄色になります。また、ゆでたときの歯切れが非常によく、ゆでのびが少ないという特徴があります。
 
 現在、日本で生産されているパスタのほとんどが、デュラムセモリナ100%でつくられています。なお、デュラム小麦はたんぱく質を多量に含んでおり、グルテンは強くて硬い性質を持っていますが、このグルテンは伸びにくいため、パンには使われません。
 パスタはその形状により、ロングパスタ、ショートパスタ、スモールパスタおよび特殊形状パスタに大別され、スパゲティ、マカロニ、バーミセリー(細棒状)、ペンネなどの商品があります。また、ラビオリは餃子(ギョウザ)のようにチーズや肉などをはさんだものです。なお、スモールパスタは、日本ではほとんど製造されていません。
(パスタの情報は、「(一社)日本パスタ協会」ホームページをご覧ください)

(3)菓子

 菓子にはさまざまなものがありますが、小麦粉を主原料とするのものを分類したのが下表です。焼きもの、揚げもの、および生菓子に大きく分けることができます。それぞれに和風と洋風のものがあり、一部に中華風の菓子もあります。
 菓子では、一般的に原材料中で小麦粉の占める比率がパンやめんと比べると低く、それらを混合する時にも、こねてグルテンを十分に形成させるということはしません。また、流動性のある生地(バッター)にすることが多いのも特徴です。菓子をつくるときにはグルテンの力よりもでんぷんの質と量が重要で、多くの場合、たんぱく質含有量が少ない薄力粉を使いますが、一部に中力粉でつくるものもあります。
   
   表 日本での小麦粉菓子のいろいろ
以下に菓子の主なものをご紹介します。
① ビスケット、クッキー
 ビスケットの語源はラテン語の「ビス・コクトゥス」(bis coctus)2度焼かれた物という意味から来ていると言われ、古代ヨーロッパでは航海や遠征のための食料として2度焼いたパンを持参していたそうです。日本には種子島に漂着したポルトガル人によって、鉄砲・カステラ・ボーロなどと一緒に伝わったといわれています。一般社団法人日本ビスケット協会の「ビスケットのお話」によると、それまでは長崎周辺で外国人向けにだけ作られていたビスケットですが、 水戸藩がビスケットの“保存のきく食糧”という点に注目し、その製法を調べます。 そして、柴田方庵が長崎留学中にオランダ人から学んだビスケットのつくり方を手紙にし、 1855(安政2)年2月28日に、水戸藩に宛てて送った史実があり、この2月28日を「ビスケットの日」としています。
 日本では公正競争規約によって、「ビスケット」「クッキー」が定義されています。一方、アメリカでは、日本のビスケットとクッキーを合わせて「クッキー」と呼び、ビスケットといえば、日本のものよりずっと厚みがあり膨張剤(重曹、ベーキングパウダー)で膨らませた一種のパンのことを指すようです。
 ビスケットは、製品の食感や配合から、「ソフトビスケット」と「ハードビスケット」に分けられます。ソフトビスケットは、クッキーと同様に砂糖と油脂の量が多く、食感はもろくて軟らかい口当たりです。ハードビスケットは油脂の配合量が少なく、食感がしっかりしており、破損しにくく、油脂の酸敗などによる品質劣化も少ないものが一般的です。
使用される小麦粉は薄力粉ですが、ハードビスケットの場合にはたんぱく質含有量がやや多いものも使われます。
 「クッキー」にもアイスボックスクッキー、絞りクッキー、ソフトクッキーなど幾つか種類があります。アイスボックスは生地の形を棒状に整えた後、薄くスライスして焼き上げるクッキーで、縞模様、渦巻きなどの細工をほどこしたものがつくられています。また、絞りクッキーは、やや軟らかめの生地を絞り出して焼く軽い食感のクッキーです。その他に、バターケーキとクッキーの中間のような軽い食感のソフトクッキーなどもクッキー専門店などでつくられます。 
(ビスケットの情報は、「(一社)日本ビスケット協会」ホームページをご覧ください)
    ●ビスケットの一般的な製造工程
② ドーナツ
 ドーナツはアメリカの代表的な食品で、現在では、世界中でつくられていますが、日本にあるものの多くはアメリカから紹介されたものです。
 生地を液状油で揚げるところが他の小麦粉加工品と違うところで、外側のサクサクした歯ざわりと中身のしっとりした食感が特徴です。イーストを使った「イーストドーナツ類」と膨張剤を使った「ケーキドーナツ類」に大別され、それぞれ食感が違います。形もリング状、ボール状、包あんされたものなどさまざまで、仕上げとしてシュガーがけ、チョコレートがけなどを施すと、さらに豊富な種類をつくることができます。
 製法は、パンと同様にこねた生地を小さく切って形を整えるものと、リング状の抜き型を使用して切り出すもの、流動性のある生地をつくって専用の機械で生地を油面に落とすものがあります。
 小麦粉は、強力粉と薄力粉を混合して使うことが多く、製品によってその配合を変える必要があります。

③ かりんとう
 かりんとうは江戸時代以降の庶民的な駄菓子の一種です。サツマイモでつくられる「いもかりんとう」もありますが、小麦粉でつくられるものが多いようです。形態は、棒状のものが一般的ですが、ねじり形、舌形、縄形、松葉形、ふたくぐり形、渦巻き形など、多種多様です。また、イーストで膨らませ、もろさがある歯当たりで口溶けが良い「ソフトかりんとう」と、膨張剤で膨らませた硬めの食感の「ハードかりんとう」があります。
 小麦粉は、ソフトかりんとうの場合は強力粉が使われますが、ハードかりんとうの場合には強力粉に中力粉を混ぜることが多いようです。強力粉と中力粉の比率はつくろうとする製品によって決めます。

④ まんじゅう
 まんじゅうには、蒸してつくるものと焼いてつくるものがあります。まんじゅうをつくるときには、あまりこねすぎてグルテンを形成しすぎないよう注意が必要です。まんじゅうの膨らみは、主として膨張剤によるものです。
 小麦粉は薄力粉や中力粉を使いますが、強力粉を混ぜることもあります。

⑤ どら焼き
 「どら焼き」という名前は、2枚の皮を合わせた形がばちでたたいて鳴らす銅鑼(どら)に似ているところからきています。卵と砂糖の配合量が多く、原材料を混ぜ合わせると液体に近い種(バッター)になります。これを泡立てて銅板(平鍋)の上で焼きますが、バッターはさらさらとした流動性の良いものであることが作業上必要です。このため小麦粉はたんぱく質含有量が少なく、バッターにした時の流動性が良い薄力粉を使います。

⑥ カステラ
 「カステラ」の語源はポルトガル語の「Castella」であるといわれています。16世紀中頃、パンと同じ頃に伝来しました。ただし、パンと違い、カステラは1624年頃に早くも長崎でつくられ、日本全国に「長崎カステラ」として広まっていきました。なお、2006(平成18)年11月に長崎県の地域ブランドとして地域団体商標制度を利用して「長崎カステラ」が商標登録第5003044号に登録されています。
 材料として投入する卵と砂糖の合計量は小麦粉の4倍にもなり、栄養価が非常に高いものです。今では専用の機械でもつくることができますが、元々、生地の泡立て加減や、オーブンの温度と時間などの条件を調節することがとても難しく、いったんオーブンに入れたものを何度か外に出して、まんべんなくかき混ぜて生地の温度を均一にする「泡切り」という作業を行うなど、良質の製品をつくるには熟練が必要とされます。
 小麦粉は薄力粉を使いますが、とくに工夫し製造された専用小麦粉もあります。

⑦ ケーキ
 ケーキは、「スポンジケーキ」と「バターケーキ」に大別されます。スポンジケーキはデコレーションケーキやショートケーキの台になるものです。小麦粉と同量の砂糖と卵を使ってつくるものが基本配合(3同割といいます)ですが、よりソフトな製品をつくるために、溶かしたバターを入れたものや、卵、砂糖が小麦粉よりも多いものが主流になっています。
  ケーキのためのバッターのつくり方には次の3つの方法があり、できた生地を型に流し入れて焼きます。
 ●別立て法……卵黄と卵白をそれぞれ別々に砂糖といっしょに泡立ててから、この2つを混合し、小麦粉を加える
  (小麦粉を加えることを「粉合わせ」といいます)
 ●共立て法……全卵と砂糖を泡立てて、粉合わせする
 ●オールインミックス法……全卵、砂糖および小麦粉をいっしょに泡立てる。この製法では生地が粘って泡立ちにくいため、
  泡立ちやすいようにあらかじめ乳化剤を全卵と砂糖に加えて混ぜておくことも行われる
  スポンジケーキ用には薄力粉が使われますが、粒度が細かく、たんぱく質含有量が少なくてグルテンの質がソフトで、生地の流動性が良くなるような小麦粉が適しています。
 バターケーキはスポンジケーキと違い、焼き上がったものにデコレーションなどをしないでそのまま味わうケーキで、パウンドケーキ、チーズケーキ、バームクーヘンなどがあります。スポンジケーキのようにふわふわしてはいませんが、バターなどの油脂が入っていますので、しっとりしていて風味が豊かなのが特徴です。
 小麦粉と同量の油脂(バター、マーガリンなど)、砂糖、卵を使うものが基本配合(4同割)ですが、小麦粉以外のものを多く配合したり、チョコレートや洋酒に漬けたフルーツを入れたりして、バラエティをつくります。アーモンドの粉を混ぜることで、よりしっとりした食感にしたものもあります。「パウンド形」とよばれる長方形に焼いてスライスしたものから、ひと口サイズの小さな型で焼き上げたものまで大きさや形はさまざまです。
 小麦粉は、スポンジケーキと同様に薄力粉を中心に使いますが、強力粉を混ぜることもあり、さまざまな使い方がされます。

⑧ シュークリーム
 シュークリームは、花キャベツの形をしたシューパフにクリームを詰めたもので、さっくりした外皮の食感と滑らかなクリームの調和が特徴の菓子です。「シュー」はフランス語で「キャベツ」の意味で、外皮の形からその名がつけられたようです。
 バターなどの油脂と水を沸かし、その中に小麦粉を加えて加熱することによって、でんぷんを糊化させます。これに卵を加えて適当な硬さの生地にして焼くと、生地中から出る水蒸気によって膨らむ仕組みです。糊化の具合によって、大きさや歯ごたえが大きく変わります。
 薄力粉と強力粉を混ぜて使うのが一般的で、さっくりした食べ口にするのには薄力粉を、大きく膨らませるのには強力粉をそれぞれ増やして使います。

⑨ パ イ
 日本で「パイ」といえばアップルパイなどの菓子のパイを連想しますが、西洋では小麦粉の生地に肉や果物をはさんで焼いた食事用としての料理パイが主流です。
 パイは、油脂と生地で層をつくり、焼いたときに油脂から出た水蒸気によってその層を浮き上がらせて膨らませる菓子で、サクサクした食感が特徴です。製法によって「折りパイ」と「練りパイ」に分けられます。折りパイは、デニッシュペストリーと同様に生地と油脂の層をいくつも折りたたんでつくるパイになります。
 練りパイは、油脂の小さなかたまりを生地の中に溶け込まないように混ぜることで生地と油脂の層を不規則につくるものです。一般に、折りパイはサクサクした食感になり、練りパイは口溶けの良いしっとりした食感です。
 他の菓子とは違い、薄力粉と強力粉を混ぜたり、中力粉を使うなどして、グルテンを適度に出し、やや弾力のある生地をつくります。

(4) プレミックス

 プレミックスとは、Prepared Mix(調製粉)の略で、スーパーマーケットなどの店頭で販売されている、家庭でも簡単に調理できるホットケーキミックス、天ぷら粉、から揚げ粉、お好み焼き粉、ケーキミックスなどが、家庭用プレミックスの代表的なものです。
 日本プレミックス協会の「プレミックスとは?」では、「プレミックスとは、ケーキ、パン、惣菜などを、簡便に調理できる調製粉で小麦粉等の粉類(澱粉を含む)に糖類、油脂、脱脂粉乳、卵粉、膨張剤、食塩、香料などを必要に応じて適正に配合したもの」と定義づけています。

 1848年にアメリカでつくられたのがその始まりといわれていますが、日本では1931(昭和6)年に「ホットケーキの素」が発売されたのが最初です。しかし、プレミックスが本格的に生産されだしたのは1957(昭和32)年以降です。 

 プレミックスの利点は、いろいろな原材料を買い集めなくても、短時間で手軽に均一な製品をつくることができることです。このため、ホットケーキ、スポンジケーキ、ドーナツ、菓子パン、天ぷら、から揚げ用など、非常に多種類のプレミックスがつくられており、業務用と家庭用が販売されています。主に製造、販売を担っているのは、製粉およびそれらの系列企業が多く、その他に大手食品企業の一部が製造、販売しています。
 これらの企業は、小麦粉、砂糖、油脂、卵など多種類の原材料をそれぞれ吟味し、用途に応じて優れた商品がつくれるように配合しています。そこには、例えば、多種類の油脂の中でどれを使うか、膨張剤は何を使うかといった原材料の選定を含め、何をどれだけどういう順に配合するかに、経験と研究から生まれたノウハウが注ぎ込まれています。 
(プレミックスの情報は、「日本プレミックス協会」ホームページをご覧ください)
    ●プレミックスの一般的な製造工程

(5) その他の加工食品

① パン粉
 パン粉とはその名の如くパンを焼き上げ粉砕して、フルイにかけて粒子を揃えたものを言います。原材料としては小麦粉、イースト、食塩、糖類、油脂、イーストフード、色素、添加物などが使われます。用途としてはトンカツ、コロッケ、エビフライ、白身魚フライなどの衣として、また、練り込み用としてハンバーグ、ミートボールその他に、増量材として各種食品、工サなどの混ぜ物として、さらに唐揚げやナゲットなどのコーティング素材など色々な用途に使用されています。外国ではチキンナゲットやスタッフィングやソーセージなどに大量に使用されています。
 日本では、明治維新後に洋風化が進むにつれて、食生活も従来の日本食一辺倒ではなくなり、洋風料理が広まりました。パン粉を使用したフライ食品は西欧から取り入れられ、日本で発達した日本式洋食です。日本人によって当時作られたパン粉は、必要によってコック、調理人がパン屋に行き、食パンを購入して帰り、自ら食パンをほぐし、丸い金網の篩の中で細粉してふるい、粒子を揃えて使用していました。その後、工業的に料理用のパン粉が作られるようになりました。
 パン粉は、普通の食パンを粉砕してもできますが、特別に焼いたパン粉用のパンからつくられます。最近は食の多様化もあり、「乾燥パン粉」のほか「生パン粉」、「セミドライパン粉」、「カラーパン粉」などが市販されています。原料の小麦粉は強力粉を中心に、それぞれの用途に合わせて使い分けられています。
(パン粉の情報は、「全国パン粉工業協同組合連合会」ホームページをご覧ください)

② 麩
 麩の歴史は古く、めん筋(小麦粉を水でこね、粘りを出した後にでんぷん質を洗い流したグルテンのかたまり)として、中国から仏教とともに日本に伝来したといわれています。はじめは、生麩に近い状態で伝えられ、長い間を経て、生麩の淡白な味わいが賞味されるようになり、日本の食生活に適応する形態に変化していきました。その後、生地を焼いてつくる焼麩が造られるようになりました。焼麩は保存が効くことから各地で生産されるようになり、焼き方や細工の方法により日本各地に独自の麩が見られ、地域の食文化を形成しています。
 麩は、植物性たんぱく食品のひとつです。大別して、小麦たんぱく(グルテン)に小麦粉を混ぜ合わせた生地を焼き上げた「焼麩」、油で揚げた「揚げ麩」と、小麦たんぱく(グルテン)にもち粉・小麦粉などを混ぜ合わせた生地を蒸し上げた「生麩」に分けられます。
 焼麩をさらに分類すると、原料を直火で焼成したもの、オーブンで焼成(蒸し焼き)したもの、原料を成形型に入れて焼成したものなどに分けることができます。原料を直火で焼成したものとしては、車麩、庄内麩、南部板麩などが代表格です。オーブン焼きとしては、一般に家庭でよく使われる観世麩、小町麩(おつゆ麩)、白玉麩などがあります。成形型に入れて焼成するものとしては、花麩、松茸麩、丁字麩などがあります。
 また、生地を油で揚げた油麩、駄菓子屋で売られている麩菓子も焼き麩です。
 生麩では、成形型に入れてつくる、もみじ麩、桜麩、梅麩、あわ麩、よもぎ麩など有名です。一粒ずつ手づくりで形を作っていく飾り麩は、和菓子のような細工が施され料理を引き立て、特に手まり麩は有名です。これらは一般的に精進料理や懐石料理に用いられます。生麩に餡を包んだ和菓子のような麩もあります。
 (麩や小麦たんぱくの情報は、「全国小麦粉分離加工協会」ホームページをご覧ください)
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